出会いは、どこにでも。

呟き
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子供が生まれてから、たくさんの家族に出会ったけれど、家族ぐるみで気兼ねなく付き合える人というのはそう多くはない。

夏休みにシンガポールに遊びに来てくれた一家とは、子供たちが赤ちゃんの時に出会い、幼稚園は違ったけれど、子供たちが同じラグビースクールに入り、父たちもコーチとして毎週末一緒に過ごしていた。

日本での子育て時代に、たくさんの思い出を一緒に作ってくれた一家。

そういえば、そもそも、どこで知り合ったんだっけ…と思い返してみると

子供たちが生まれたのは1か月違いだけれど、ベビーの集いは誕生月ごとだったから別だったし、何か一緒のベビーサークルなどに所属していたわけでもない。

母同士お互いに、誕生月の集いで知り合った別の友達と、あちこち色んなベビーイベントに顔を出しているうちに、何度か顔を合わせて、挨拶をするようになったのが最初だったと思う。

関西出身の彼女は、同じ関西出身のママとよく一緒にいて、のんびりした関西弁で、本人たちは日常会話をしていただけだろうけれど、ボケとツッコミが絶妙で、隣でおむつ替えをしている時に耳に入ってくる会話が面白くて、印象に残っていた。

うちの息子は生まれた時からよく寝る子で、とにかく外出中にベビーカーでよく寝ていた。

1才になった頃には、毎日通い放題のベビースイミングに通っていて、午前中プールに入って体力を使うからか、午後にベビーカーに乗せて駅前に買い物に行くと、いつも爆睡していた。

息子がベビーカーで爆睡した時、たまにコーヒーを飲みながら本を読みたくて、駅前のスタバに寄った。

そこのスタバは、店舗の席の他に、前にモールの休憩広場があり、そこでコーヒーを飲んでいれば、もし息子が起きて泣いても、気兼ねせずにあやせる、便利な場所にあった。

そこで同じように、ベビーカーで寝ている子供を連れてスタバに来ていたのが、彼女だった。

最初は挨拶だけ、そのうち立ち話をするようになり、しばらくすると一緒にコーヒーを飲んで話すようになり、母同士同じ年だと知って、仲良くなっていった。

でも連絡先を交換するわけでもなく、会ったら話す、という関係がしばらく続いた。

約束をしなくても、またどこかで会えるでしょう、と思っていたから。

実際、約束をしなくても、週に1回以上はどこかで顔を合わせていた。毎日同じ場所に行くわけではないのに、近所の行く先々で遭遇するので、行動パターンが似ていたんでしょう。

そろそろ、家で子供を遊ばせようかと連絡先を交換したのは、出会ってから半年くらい経ってからだった。

そろそろ薄手のコートに変えてもいいかなと思った河津桜の咲く頃、お互いの家の近所の川沿いの桜並木を、ベビーカーを押しながら散歩している時に偶然行き会い、やっとLINEを交換した。

母になって、子供の関係でたくさんの人に出会ったけれど、こんな出会いをしたのは、彼女だけだったような気がする。

母親学級、子育てサロン、ベビーマッサージ、ベビー連れヨガ、ベビースイミング、リトミック、、様々なところでたくさんのママと出会ったけれど、知り合ってすぐ連絡先を交換した人とは、不思議と、その後続くことはなかった。

初めて子供を産んで、最初はママ友達が欲しかったり、家で母子で行き詰まらないように出かけて行くので、知り合った人と連絡先を交換するのは友達作りの初めの一歩ではあるのだけど。友達が欲しいと思って連絡先を交換しても、続かないものだった。この人のことをもっと知りたいと思った人でないと、連絡先を交換しても、続かない。

サークルや習い事教室に所属すると、知り合いはたくさんできる。でも、本当に気が合う人は、ほんの一握り。ママと言う立場で知り合う人たちは、出身も経歴も様々で、学生時代から社会人生活まである程度淘汰された社会で生きてきた大人には衝撃的な人との出会いもある。「友達が欲しい」と思って行動していると、そのアンテナが狂う時もある。

友達を探しに行かなくても、無理に何かに所属しなくても、縁のある人には、どこかで出会えるんです。

日本を出た時、息子は幼稚園3年目の年長で、親子共にたくさんの友人知人ができて、私は仕事をしていたから、そっちにも気心知れた同僚がいた。

そういう環境を出て、友達のいない外国へ行くことは、怖くないの?と、何度か聞かれたけれど

その心配は全くしなかった。

自分の興味のあることをして、今自分がやるべきことをして、人のいるところに出かけて、挨拶して、心を開いておけば、気が付けば気の合う人が周りにいる。誰かと話したくなったら、今は世界のどこにいても繋がれるのだし。

日本の安定した生活を終わりにして、0から海外で暮らすことに、怖さよりも興味が勝ったのは、子供を産んでからこういう友達との関係を築き上げることができたことが、自信に繋がったのだと思う。

5才の子供を連れて日本を出てきた私たちを、心配しながら見守ってくれて、こうやって家族で会いに来てくれた友よ。あなたに会えて良かった。

彼女を見ていると、『マザーウォーター』という映画を思い出す。

マザーウォーターとはウィスキーの仕込みの水のことを言うのだけれど、母なる水、清く流れる水の流れに任せて生きる人々を描いた映画で、何があるわけでもないけれど、好きな映画でした。

彼女は、服のセンスも、家のセンスも、この映画の登場人物のような雰囲気。

映画『マザーウォーター』予告編

今まさに、流れ者みたいに、日本を出て暮らす私たち。

流れながら見えてくるものがあると信じて進み続けるつもりだけれど

それを支えてくれている人々がいることを、忘れてはなりません。

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